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トップ・鳥獣戯画の模写を終えて6
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トップ・鳥獣戯画の模写を終えて6
Ⅴ筆の練習 
 ②絵の練習

 一度に描く範囲を決め、安い半紙にまずは動物一匹を描く練習をしました。安い半紙は表面がつるつるなので、少しざらつきのある裏を使いました。
 
 まず、描き始める前に、どのような順番で筆を入れていったのかを観察します。そうすると、おのずとある程度どの線から描いたか、筆順が見えてきました。それは、描かれた筆順に必然性があったからです。その必然性とは、少ない筆の線だけで、物の形態、骨格、立体感を的確に描き表すための手順です。
 また、一息の筆で描いているところ、筆を切っているところもよく観察します。筆を切っているところには、たいてい切る意味がありました。
 「本朝画法大伝」の中に、「(筆を)切るべきところを切らず、続けるべきところを切るなど微塵のところで巧拙がみえる。」という言葉があります。まさにこの言葉通り、筆を続けるか切るかというところに、造形上の極めて大きな意味があります。
 また、一つの立体(たいてい一つの立体は二本の線で囲まれている)を描き表すとき、その立体を囲む線と線とをいかに呼応させるように描けるか、ということが絵が立体になるか平面になるかを決めてしまいます。線と線とが呼応していれば、二本の線で囲まれた内側は正しく立体になりますが、呼応していないと単なる平面です。
 印刷物では、線の勢いや、線と線との呼応関係、また、虫食いで線が切れているのか、筆を止めて切れているのかなどわかりにくいのですが、これは幸い2回も鳥獣戯画の展示があったため、何度か通って十分確認することができました。
 白描画は、紙の上に筆の線だけで三次元空間を描き表します。そこにどのようなマジックがあるのかと思っていましたが、筆を入れる順番、筆を続けるところ、切るところ、一つの立体を囲む線と線との呼応関係に、きわめて大きな意味があることがわかりました。当然のことながら、線それ自体もしっかりとした力を持ち、絵の表情に合わせて臨機応変に変化していかなければ、全てが力ない虚構になってしまいます。
 これら全ては当たり前ともいえる基本的なことですが、一つづつ的確に押さえながら描いていくのは、なかなか難しいことでした。
 
 また、絵をそのまま写すだけではなく、一歩想像を進めて、作者の描こうとした動物の雰囲気、骨格、動きなどを具体的に想像してから描くことが大切です。そうしないと、どこか平板な、生命感のないただなぞって写しただけの模写になってしまいます。完全にそっくりに写すよりも、そうした作者の描こうとしたイメージに近づけるようにする意識の方が重要です。
 そっくり写しているようでも、原画の線と自分の描いている線が、形、長さ、力の入れ具合など、すべての点で完璧に同じ、ということはあり得ません。自分の絵の中で、線と線が呼応するように描くと、どうしても原画と全く同じ、というわけにはいかないところも出てくるのです。
 
 動物一匹ずつが描けるようになったら、一場面全体の練習に移りました。背景の岩は側筆を入れながら、美しい秋草は、細く柔軟な線で描かれています。草のように細かいものを描くときには、どうしても筆の動きが小手先になって縮こまりがちですが、この秋草の柔らかく風に揺れるような雰囲気は、筆管の真ん中から上の方を持って、腕全体を使って描く意識が必要でした。
 画面全体に渡って、それぞれの線が何を表し、画面の中でどのような役割を担っているのか、丁寧に確認します。

 
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