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トップ◆ポルトガル紀行 7月24日
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トップ◆ポルトガル紀行 7月24日
7月24日(金)  コインブラ-リスボン

 朝、宿のカウンターの電話を借り、今日、明日のリスボンの宿を予約する。宿のおじさんが、僕の持っていた「地球の歩き方」に興味を示し、コインブラ宿泊情報のページをコピーする。どこの宿が載っているのか、気になるようだ。

 駅でリスボン行きインテルシダーデ(特急)の切符を買い、宿に荷物を預けてから、コインブラ観光に。
 まず、サンタ・クルス修道院。この修道院の内部は、白い壁の下半分が、青一色で宗教画を描いたアズレージョで飾られている。絵の筆致は柔らかく、とても良い。
 アズレージョを見ていると司祭が現れ、土地の人が集まって来て、ミサが始まったので、後ろの方に座って見ることにした。司祭が聖杯にワインを注ぎ、飲んだ後、白い布で杯をぬぐう動作は、司馬遼太郎も書いていた通り、茶道の所作を思わせた。
 奥の参事会室、聖器室を見学する。ここの大きな壁面を飾るアズレージョは、高い天井の方まで白地に青と黄の抽象的な柄で埋め尽くされて更に美しく、窓から差し込む朝日に明るく輝いて、キリストの磔刑像や聖具を囲んでいる。この美しい空間で、修道院の人たちは黙々と日常の仕事をこなしていた。奥にはもう一つ、素朴な祭壇があり、土地の人が十字を切って花を供えている。
 その先には、「沈黙の回廊」と呼ばれる回廊がある。ここは明るい日が差し、石の回廊に囲まれた中央には緑の草が生え、16世紀のアーチの下を歩いていると、なんとも静かないい空間だった。

ポルトガル7.24サンタクルスカフェサンタ・クルスのカフェ ポルトガル7.24カフェのおじさんカフェのおじさん

 修道院の付属のカフェでパンと焼き菓子を食べ、市場を見た後、エレベーターで丘の上へ上がり、マシャード・デ・カストロ美術館へ行く。
 美術館の地上階は大掛かりな改装工事で閉鎖中だったが、見たいと思っていた地下の古代ローマの遺跡は、その重要性から、できるだけ早く多くの人に見てもらえるように、ということで一足先に公開されており、幸いにも見ることができた。地下に眠る、ローマ時代の遺跡の中に入れるのだ。
 案内のおじさんに続いて階段を地下に下りると、この土地に古代ローマ人の築き上げた広い街の中を、実際に歩いて回ることが出来る。今でもしっかり歩くことの出来る石畳の立派な道、壁、アーチ。この険しい丘の土地に、さぞかし大変な工事だったことだろう。古代ローマ人が建築技術に秀でていたということは、歴史の教科書に必ず書かれている事実だが、こうして実際に、その二千年近くも前の確かな技術を目の当たりにすると、ただ圧倒される。ヨーロッパの地下には、まだどれだけ古代ローマ人の建造物が眠っているのだろう。ポルトやリスボンも、古代ローマ時代からの街だ。
 案内してくれた美術館のおじさんが、穏やかに、こちらのペースにあわせ、付かず離れず、もの静かなガイドで印象に残る。

 最後に、コインブラにある二つのカテドラルのうち、旧カテドラルを見る。12世紀に建てられた大聖堂で、外見は堂々としてはいても格別の装飾といったものはない。しかし内部は、石の壁が鮮やかなエメラルドグリーンやコバルトブルーの幾何学模様のタイルで大きくアーチ状に飾られ、驚くほどの美しさだった。タイル一枚一枚に凹凸が付けられ、美しいつやがある。思わず妻に「これは来て良かったよ」と言った。石の大聖堂の重厚な暗い空間に、イスラムから来たタイルが異国風の開放的な明るさを沿え、全体に簡素な印象の中に、異文化が共存している。ここはヨーロッパの西の端、ヨーロッパの外からの風を感じる空間だった。
 
 聖堂内の階段を登ると、明るい日の射す回廊に出た。この13世紀ゴシック様式の大きな石造の回廊は、サンタ・クルスの回廊よりさらに重厚であり、中世にタイムスリップしたかと錯覚するような空間で、中世建築の圧倒的なスケールの大きさと、素朴な力強さを感じさせた。
 ロダンは、「現代の建築は何もかも正面(ファサード)へ広げてしまう。しかし、昔の建築は奥行きで建てている。そして深さと肉付けを与えている」と語っている。「光と陰との分配で、中世期の建造家は建築をあんなに力強い生命に生かしたのです。」
 ロダンが語っている対象は、中世フランスの建築だ。しかし、この回廊の石の柱やアーチも、まさに彫刻のような豊かな肉付けによって、限りなく大きな、深い奥行きのある空間を生み出している。建築全体が、一つの巨大な彫刻作品のような量感をもって造られているようだ。何の飾りもない壁や床ですら、年月が石の表面に作り出した複雑な表情と陰とが一体となって、力強い厚みを感じさせる。
ここコインブラの旧カテドラルは、この旅行で見た建造物の中で、最もあざやかな印象を残した。

ポルトガル7.24車窓から車窓から ポルトガル7.24インテルシダーデインテルシダーデで

 インテルシダーデでリスボンへ。
 今日と明日泊まるリスボンの宿は、繁華な地区、バイシャの真ん中にある。ポルト以来溜まっていた洗濯物を久々に風呂で洗い、小さなベランダに干して、気持ち良い。四階の部屋なので、隣のベランダなどが見えて、眺めが楽しい。
 通りに机を並べるレストランで、魚介の雑炊など、美味しく夕食を食べる。通りの向こうには、テージョ川に向かってコメルシオ広場の大きな門が見える。たくさん食べたはずだが、美味しかったからか、こちらの胃がポルトガルに慣れてきたからか、気持ちよく食べきってしまった。

 食後、リスボンの銀座(?)、シアードの方へ散歩する。週末だからか、観光シーズンだからか、たくさんの人が夜の街へ繰り出している。教会で、アカペラコーラスの無料コンサートがあったので、入って聴く。天井の高い教会の空間に、残響豊かに美しく声が響く。
 劇場の前を通り、シアード美術館を覗く。美術館のギャラリーでは、若い現代作家の抽象画の展示のオープニングパーティーだった。美術館の中の洒落た庭園で、着飾って集まった人たちがワインを飲んでいる。カモンイス広場近くまで、カフェや本屋を覗いたりしながら歩く。
 街の中心、ロシオ広場へ出て、ケーキを食べ、コーヒーを飲んで、リスボンの週末を、妻と夜遅くまで眺める。
ポルトガル7.24ロシオ広場ロシオ広場の木

 -7月25日へ-

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