トップ◆ポルトガル紀行 7月19日
7月19日(日)  東京-ミュンヘン-リスボン

 朝5時半に起きる。今朝の東京は曇り。眠い。7時半に家を出て最寄駅へ向かう。荷物が重い。妻も重そうだ。荷物の半分を占めるスケッチ道具と、そして数冊のスケッチブックのせい。

 12時半にルフトハンザ航空の飛行機で成田を離陸。初めてのルフトハンザ。楽しみといえば、なんといってもドイツビール。妻がわざわざこのために周到に準備してきたつまみを出して、ビールを飲み始める。

ポルトガル7.19雲 飛行機から

 17時08分(以降現地時間)ミュンヘン空港着。飛行機の窓から見たミュンヘン郊外は、畑の中に集落、教会が散らばり、子供の頃に読んだヨーロッパの絵本の挿絵のよう。EU圏への入国審査では、ズボンのベルトまで外させられて、審査が厳しくなっているのに驚く。せっかくドイツだからということで、空港でとりあえずビールとソーセージ、パンを食べる。

 19時40分 ルフトハンザの小型の飛行機でミュンヘン空港を離陸。飛行機がポルトガル上空へさしかかると、長い海岸線が見え、海へ注ぐ川もいくつか見えてくる。陸も海も美しく、全てを柔らかい夕暮れの色に染めて、大西洋にゆっくりと日が沈んでゆく。これがイベリア半島か、と思う。上空からは、どこまでがスペインで、どこからがポルトガルか分からない。テージョ川という大河が、スペインからポルトガルへ半島を横断して流れ、首都リスボンの先で大西洋に注いでいるはずである。暖色の大地の上にそのテージョ川を探しているうち、真っ暗な夜になった。
 しばらくすると、突然リスボンの街の灯が、宝石箱をひっくり返したように、窓いっぱいに広がってきた。夢のように美しい。東京も、他の街も、上空から見る夜景はどこも美しいと思うが、リスボンの夜景は、格別に美しかった。東京の夜景がダイヤモンドなら、上空から見るリスボンは真珠のような輝きで、暖かい色合いの光に包まれている。
 窓から見ていると、小ぢんまりしたリスボンの街全体が、黄やオレンジ色に柔らかく輝きながら夜の闇の中に浮かび上がっており、その光の中へ飛行機が高度を下げていく。隣の席の妻も「きれいだね」と言って、飛行機が滑走路に着くまで、窓の外を見つめていた。短い時間だったが、この飛行機の窓から見た夜景こそが僕にとって、リスボンの忘れられない、鮮やかな第一印象となった。そしてこの瞬間がポルトガルとの初めての出会いでもあり、この旅行を通して感じたポルトガルという国の印象とこの夜景とは、どこか通じるものがあった。

 21時35分 リスボン空港へ着陸と同時に飛行機の中は拍手とブラボーの声が飛び交い(ラテンの国はみなこうなのか?)、なにかとても幸せな気分で飛行機を降りた。
空港のツーリスト・インフォメーションでリスボンの地図を買い、タクシーに乗って夜の街を今夜の宿、レジデンシャル・アレグリアへ向かう。

 23時ごろ宿に到着。レジデンシャル・アレグリアはリスボンの街の中心部にあり、小ぢんまりして落ち着いた良い宿だった。部屋の窓を開けて見下ろすと、石畳の路地を隔てて向かいの家が見える。暖かみのある古めかしさ。人の声が聞こえる。ほっとする。疲れ、眠い。

-7月20日へ-